東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~作者: リリー・フランキー出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2005/06/28メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 445回この商品を含むブログ (1391件) を見る

リリー・フランキーの物語じゃない。
中川栄子と雅也と、時々、中川弘治の3人家族の物語。
読んでいて胸が苦しかった。
こんなに深い親子の結びつき。
自分の人生を切り取って分け与えているかのような母の愛情。
それに対する放蕩息子の情けなさ。
後になってからわかることばかり。
この本を読まなかったら絶対そんなことは考えなかっただろう。
自分がどんなふうに育ったか、について思いを思いをめぐらすことは有っても、
自分を育てた周囲は当時どんなだったか、は
たいして考えていなかった。
俺は冷たい人間だ。
リリーさんのようには生きていけていない。
両親と心をひらいて酒を酌み交わしたり、
彼女を紹介して一緒に家で飯を食べたりしたことが無い。
だから心底、中川家はあったかくていいなあとあこがれる。
本当は、家族は構成員それぞれが努力しないと
うまくいかないものなんだろうな。

何度も何度も自分の家族はどうだろうかと立ち止まって考えさせられた。
俺も、両親に何かをした、と言えるようなことは何もしていない。
「誕生日おめでとう」を言うか言わないかくらいのものだ。
いつか胸を締めうけられるような後悔をするのだと思う。
それでも、両親に後悔はさせたくないなと思った。
この本を読まなかったら絶対そんなことは考えなかっただろう。
 
この本を読んだことで自分は今までよりすこし、
人間らしくなれた様な気がする。