姑獲鳥の夏 プレミアム・エディション [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント発売日: 2005/11/25メディア: DVD購入: 1人 クリック: 39回この商品を含むブログ (197件) を見る

原作が面白かったので映画も鑑賞。
不穏な空気を伝える音楽と、彩度を抑えた色調がマッチして
映像がすごく綺麗だった。
良くないことが起こる前の不穏で儚げな美しさ。
それが原作の持つ、
日常と非日常のあいだみたいな雰囲気を想像以上に伝えてくれた。
原作を映像化するって意味では凄く良かった。
ラストの赤い場面も、乱闘も原作にはないけど、映画には必要なシーンだと思うし。
 
ただ、それが原作の完全実写化というものとはまた別のものだということにも
この映画を見て気付かされた。
原作で主人公が喋る長くて理屈が過ぎる講釈は、映画用にかなり短く切られていた。(十分の一くらいに)
台詞で事件の背景や思想を述べるのは映画的ではないけれど、
それはこの原作の魅力の一つでもあるのだ。
それから情報量の多さからくる本の厚さ。
文庫2冊分もある話を2時間にまとめるのはやっぱり乱暴な気がする。
映像化に向く物語と、向かない物語というのはたしかに存在するのだ。

堤真一は肉体的に弱そうな役が似合う。実際にはそんなこと無いんだろうけど、
なんとなくもろそうなイメージがあるのだ。
そして今回は阿部寛がもっとも役柄に近く、かつ格好よかった。
白スーツがとても似合っていた。