ロード・オブ・ウォー [DVD]出版社/メーカー: 日活発売日: 2006/06/09メディア: DVD クリック: 34回この商品を含むブログ (139件) を見る

直訳は「戦争の王」。「不都合な真実」+「キャッチミーイフユーキャン」?
武器商人が世界中を駆け回って商売しまくり。
アフリカで自動小銃でも、アジアで軍用ヘリコプターでも、何でも仕入れるし
なんでも売りさばく。戦争があるところには常に彼の売る武器が有った。
真剣に描くと暗くて血なまぐさいテーマだが、ニコラスケイジの飄々としたキャラと現実から一歩引いてピリッと皮肉を効かせたブラックユーモアで、エンターテイメントな映画として成立してる。常に笑いのチャンスをうかがってるところがある。「不都合な真実」ばりに重いテーマなのに。

ニコラスケイジは商売の天才だ。アタマの良いセールストークとぱりっとしたスーツで一流のビジネスマンとして世界に売り込みをかける。そしてビジネスマンは売った後にその商品がどう使われるか、そこの地域がどうなるかなんてことは全く気にしない。気にしちゃいられない。ただ売るんだ。水かコーラみたいに。売らないと生活できないし、第一彼が売らなくたって、代わりの商人はいくらでもいるんだから。
そんな最悪なビジネスマンだが、不思議と憎めない奴になってるのは彼にまだ人間らしいところが残ってるからだ。アフリカの少年兵がカラシニコフを持っていても気にしないが、自分の3歳の息子がおもちゃの拳銃を持っていたら即ゴミ箱に捨てる。自分に関係ないところでは何が起こってても気にしないけど、家族は大事だし、自分では銃だって撃ちたくない。
そういう奴を観ていると、彼の責任を問うことは出来ないんじゃないかという気がしてくる。彼が武器を売らなくても、他の商人が営業するんだし。彼が人を殺すわけじゃなし、ただ資本主義にのっとって需要と供給のバランスを保っているんじゃないか?武器を大量に作ってる奴だっているわけだし。だいたい歪んでいるのは世界なんだ!
社会の矛盾したシステムに気付かされる、観るべき傑作!