身近な動物の話

夜八時、アパートの自宅前の廊下に鳩がいた。
暖かい季節なら公園や駅近くの広場にいるような普通の鳩。
そいつが一羽だけ、廊下の端っこの自転車のそばでうずくまっていた。
気温は氷点下、外は吹雪の夜。
目は薄く開いていたけど、俺が近づいてもじっとしたままだった。
弱っていたんだろうか?
寝る前にもう一度見に行くといなくなっていた。
 
日曜日の夜、クルマを運転していたら狸とぶつかりそうになった。
真っ暗な直線道路を時速70キロで走行中に、突然道路に布切れのような黒いもの。
10メートルくらいの距離になってはじめて布切れの目が光り、
それが動物であることを知った。
おそらく大きめの動物、たぬき!
瞬間、危機を感じてハンドルを切った。
ぶつかるかどうかわからない距離だったが、きっとあちらもよけたのだろう。
ぶつかることもスピンすることも無く回避できた。
もしあのときぶつかっていたら、
ぶつからずともスピンして雪の残る道路わきに突っ込んでしまったら。
今も思い出すとどきどきする。