田舎のおばあちゃんちの近くの道の駅、そこに隣接する温泉に行った。
去年の疲れを洗い流すつもりで入る。
すぐのぼせそうになる。




ロビーの休憩コーナーには本棚があって、寄贈されたと思しき本がたくさんあった。世界の名作全集やこども用の百科事典、昔流行った小説。それから政治、経済関連の本がたくさん。ソ連共産党東西ドイツ統一、それからグローバリゼーション、太平洋戦争関連などなど。


秋田県の田舎のほうで、こんな本を何冊も読んでた人がいたんだな。でも東北の片隅で世界の政治や経済に関心を持ったって、それがいったい何になるんだろう?外に出て行く意識が高いわけでもわけでもなく、部に冷たく身内に甘い気質のこの県。「東京に行く」ってだけですごいと言われるこの県で。
東西ドイツだって、イラクアフガニスタンだって、知り合いもいない遠く離れたどこかのことじゃないか。行くことも無いだろうし。資本主義だってグローバリゼーションだって別にそんなこと知らなくたって生きていけるし、今までだって何の問題もなかったよ。こっちには関係のないことだね。それよりパチンコの必勝法を知りたいよ。」職場のおばさんにはそんなふうに冷たくあしらわれるかもしれない。実際そのとおりかもしれない。


けど、知ることは悪いことじゃない。よその土地のことはたいてい面白い。それに秋田も東北も日本もアジアも世界もみんな繋がっていて、お互いに関わりあっている。繋がっているから、どこかが調子を崩せばそれが少しずつ伝わって、あちこちで同じような不調が起こるかもしれない。繋がっているもの同士は同じような部品や構造でできていることが多いから、その全体やある一部分を見るだけで、他のところを知る手がかりを得ることができるかもしれない。


とにかく、世界の片隅も世界の一部なんだ。世の中について情報を得たり考えたりする意味はきっとある。誰にとっても俺にとっても。
そんなことを考えた2007年のはじまり。