FOR座REST in福島民家園

場所は福島市の郊外、
高速のインターを過ぎて、果樹園と田んぼのあいだ。
明治時代かそれよりもっと前の、古い民家が寄り添う集落のようなところ。
濃い緑の林や竹やぶの中にかやぶきの大きな屋敷や土壁の小屋がぽつりぽつりと立っている。色あせた大きな木の柱や、電気の通っている気配が無い薄暗いけれど落ち着いた家の中。なんだか穏やかな空気。
どこかから移設されてきた建物が多いらしいけれど、それらはずっと昔からこの地にあるように感じられる。
周りには現代的なものは無くて、
一瞬自分が何時代に生きているのか分からなくなるような。


そんな民家園の一番奥に会場の広瀬座が有った。
色あせた黒色の大きな木造の芝居小屋。
明治に作られた建物なんだそうな。
たどり着いた時はちょうどUAのリハーサル真っ最中だった。
リハーサルなのに座ってじっくり聴きたくなる。
外でも聴こえまくるUAの歌声。


広瀬座の中は、全然ライブ会場っぽくなかった!
畳敷きで中央に花道がある客席。提灯が照明として取り付けられた壁。
そしてステージの奥には大きな松の木が書かれた金屏風!
そんな空間で座布団に座って音楽を聴く。
ライブは立って聴くもんだと思ってるから、なんか違和感がある。


最初はブラックボトムブラスバンド。BBBB!
歩きながらでも演奏するスタイルだからドラムセットがなくてもアンプが無くても平気なんだな。
とにかく陽気で明るい!ブラックボトム履いてない!
関西のノリで面白い!トロンボーンは絶対酒入ってる!
ずっと手拍子してたら手が痛くなるくらい叩いてた。
座ってなかったらきっと跳ねたり踊ってたと思う。会場全体が。
座りながら盛り上がった。


2発目、Saigenji
福島で観るのは2回目。
ルックスがより一層ラテンっぽくなった気がする。
ちょっと肉がついててほっぺたが赤くて。そしてよく笑う!
手がものすごい速くて、口もものすごい速くて、その速さに置いていかれそうに。ほんとギター一本と自分だけで音楽を奏でてる。
パーカッション・ドラムの人もリズムがすごく豊かで、木箱一つで音を作ったのにはほんと驚かされた。


ラスト、UA。
コバルトブルーのドレスとゴブラン織りみたいなタイツ。
どんな格好しててもUAはUA。
メンバーはアラバキのときと同じく、ウッドベース鈴木正人、ギター内橋、
トロンボーンクラリネット、トランペット、そしてコーラス。
俺の大好きなドラムス外山明さんはお休みだそうで、これにはがっかり。
期待してたのに。(調べたら、ずっと東京でライブが入ってみたい)
曲は、プライベートサーファー、黄金の緑、奄美民謡とか。
相変わらず凄い。
UAは、誰もが知ってるような必殺技(皆知ってる代表曲)ってのが有るのか?
無いような気がする。アルバムごとに音楽性が変わるし。
UAは知ってても、曲は知らない人は意外と多いんじゃないか。
でも、歌声を聴けばああUAだって思うし、存在感に納得するんだよな。
どんなミュージシャンと組んでも、ドラムが居なくて音が寂しくても、その存在感は全然変わらないんだ。
アンコールに「水色」をアカペラで歌ってるのを聴いててつくづくそう思った。


座ってたらちょっと腰が痛くなったけど、ほんとに良いイベントだった。
このイベントを企画し(おそらくスポンサー無しで)実行し運営した方々に御礼を言いたい。どうもありがとう。
そしてこういうイベントを生み出す土壌が有る福島はほんと良いとこだと思う。
暮らすにはいいとこだな。また住もうかな。