「自虐の詩」

 かつて原作のマンガ(4コマ)を読んでラストにぐっときた。
 原作では4ページに一回くらいはちゃぶ台グワッシャーン!!とひっくり返してたし、映画でも3分に一回くらいやらかすかと思ってたらそうでもなかった。そんなにやってたらPG−12になってしまうか。
 でも中谷美紀が演じてると可哀想だけどなんだか笑えてしまうから不思議。幸福そうじゃないのに毎日が楽しそうだ。幸薄そうな役が似合う女優ってそんなに思い浮かばない。この作品、木村多江じゃ泣いちゃいそうだし、深津絵里じゃ楽しそうな結婚できない独身女だし。
 阿部寛はいつも無口で無表情なんだけど、物語が進み、過去が分かってくると彼なりにいろいろなことを思ったり悩んだりしているんだなということが微妙に見えてきた。どんなにだめでひどい奴にも良い奴だなと思える瞬間が有る。竜雷太とのシーンが格好いい。あと犬のアップリケのジャージが似合うね。
 4コマのリズムってのはダンス音楽のリズムと一緒なのかな。4拍でオチが有るひとつのまとまり。そのリズムが束になり、小さな喜怒哀楽がたくさん集まってひとつの大きな物語が生まれる。全体が見えてくる。単純で同じパターンが繰り返されたとしても、最後に振り返ればそれは大きな流れの欠かせない一部なのだ。そんなことをぼんやり考えてた。原作は4コママンガで、映画は1ページマンガの繰り返しから大きなストーリーに、というかんじだろうか。
 そして、やっぱり最後のメッセージにはぐっときてしまうのでした。