2度とこない

この土地には二度とこない!と思うときがある。


例えば、お腹を空かせて入った定食屋がひどい店だったとき。ようやくたどり着いた観光地の手前の道路が一方通行の連続で、目的地が見えているのにたどり着けないとき。二度とこない!と思うことで、もう不愉快な思いはすることはないんだから、たまたま運が悪かったことだから仕方が無い、と納得しようとする。マイナスの感情を落ち着ける。


例えば、讃岐うどんの店をはしごして三軒目に行こうか迷うとき。定食をワンランク高いのにしようか悩むとき。ちょっと遠くの観光地へ行こうかどうか迷っているとき。二度とこない!と思うことで、自分の背中を押す。もう来ることが無いかもしれないからこそ、食べないよりは食べておきたい。行かないよりは行っておきたい。知らないよりは、知っておきたい。プラスの感情を、ふくらませる。


秋田県民なので、西日本はほとんど未知の世界。実際周囲の秋田県民で四国や九州に行ったことがある人は少ない。行ってもせいぜい博多で野球を見たという程度。物理的にも心理的にも遠い場所だ。きっと西日本の人たちも、東北に同じような思いを抱いているんだろうな。そんな遠い土地を長期間、クルマで旅行できる機会はしばらくないと思う。少なくとも今年は予算的に無理。だから、二度と訪れることは無いかもしれないな、という思いが常にアタマの片隅にある。
二度と訪れることは無いかもしれないからこそ、後悔はしたくない。
もしかしたらこういう気持ちを、一期一会っていうのかもしれない。