プシュカル

現在プシュカル。
年に一度のキャメルフェスティバルというお祭りが開かれている。
今日が最終日で、午前中から閉祭式があったようだ。
ラクダたちがたくさん集まると聞いていたのだが、それははじめの間だけで、昨日俺がこの街に来たときにはどこかへ移動して行った後だった。


何日か前に、一通の絵はがきを出した。
旅して初めて出す手紙。
エアメールだからそのうち届くだろう。


池澤夏樹の「南の島のティオ」という小説(この前読んだ)に印象的な話があった。
小さな南の島のあるホテルで、特別なポストカードを売っている。
島の風景の写真が印刷された普通のポストカードだけれど、それを受け取った人はなぜなのか、その風景を見たくなって島を訪れてしまうのだ。
特別な、魔法がかかったポストカード。
ホテルの少年ティオはそれら売り物とは違う一枚だけのポストカードをもっている。ティオの後姿の写ったカード。
これを受け取った人は、ティオに会いたくてたまらなくなってしまう。
彼はそれをいつか使うべき時がくるまで大切に持っている。


俺が出したポストカードはそのへんで売ってる、特別なことは何もないカードだけど、特別なことなんて書いてないけど、気持ちはこもってるつもり。
どこかのお土産屋や雑貨屋で素敵なカードを見つけたら、誰かに手紙を出したくなるかもしれない。
そんなときのために、ポストカードを受けとってもいいって言う物好きな人がいたら、携帯メールでいいので住所を教えてくださいね。
たぶん忘れたころにどこかの街からポストカードが届きます。