絶対負けるとわかっている戦い

家族旅行でのこと。
観光の終わりにみんなで買い物に出かけた。
そこでおばあちゃんは小さな孫へのお土産を選び始めた。
俺からみたらいとこにあたる、小学6年生と5年生の姉妹がいるのだ。


はじめに行ったところはアウトレット商品専門のデパートのようなところ。
そこでおばあちゃんは、洋服を見はじめた。
孫へのお土産に半袖のパーカーが欲しかったらしいけど、
そんな服はみつからない。
そこで袖の無いひらひらしたカットソーをあれこれ見ている。



おばあちゃんはもうすぐ75歳。
気持ちは若いし好奇心も旺盛だけど、
さすがに今の小学生の欲しい物なんてわかるはずもない。
俺だってわからない。
ただ、そこで見ているクリーム色の肩口がひらひらした服は
絶対歓迎されないだろうなってことぐらいは分かる。


とりあえず、ピンクのジップアップパーカーなら大きく外しはしないだろうと考え、
おばあちゃんに勧めてみる。
ラルフローレン系列だし。銀色でプリント入ってるし。

サイズは、おばあちゃん曰く「だいたい娘(俺の母)と同じ」ということで母が試着。
ピンク色で同じサイズが2着は無かったので諦めることとなった。
まあ買わないなら買わないでいいのだ。
良かった。
お土産なんてチョコレートくらいでいいじゃないか。

安心してたら次に入った店でも選び始めた。
そこのお店はアメリカンアパレル
メイドインアメリカでカラフルかつシンプル、ユニセックスな作りの服が並ぶお店。

ユニクロを若者向けかつクールにしたような。
俺や妹が行きたくて行ったんだけど。
おばあちゃんが孫向けに選んだのは、ジップアップパーカーだった。
紫色にケミカルウォッシュみたいなタイダイみたいな染めが入ってピンク色にも見える。
(写真参照)
どうみても小学6年生と5年生には難しすぎるアイテム。
でも母と二人で選んで止めるまもなく買ってしまった。
お嫁さんには黒地に白でヘヴィロックみたいなプリントが入ったTシャツ。

三点で計1万円ちょっとのお買い上げ。


思えば、
俺もかつて母から旅行のお土産やなんかで洋服を買ってきてもらったことがあった。
学生の頃。
やっぱり、気にいるものなんてなくって、「センスねーなー」「わかってないなー」
って感じたものだった。
ハワイ土産で、トミーヒルフィガーの白いダウンジャケット(2サイズ大きめ)とか。
着るとカナダの子どもみたいなイメージ、
サウスパークに出てくるキャラクターみたいなバランスになってしまうのだ。

若者のセンスはナイフのように尖っている。
それは親には決して理解できないものだ。
ましてやおばあちゃんには。
それをわかっていてもいなくても、
洋服を買ってあげるなんて、
絶対に負けると分かっている戦いに望むなんて俺には理解できない。


おそらく小学生の姉妹はそのパーカーは着ないだろう。
アメリカ製の服だなんてこともどうだっていいだろう。
きっとGAPキッズのロゴTくらいで、

いや、
そもそもお土産に洋服を選んだ時点で誤っている。
やっぱりお土産の王道は消費すればなくなるもの。
できれば食べるものなのだ。


俺も遠い将来、
子どもや親戚に洋服をプレゼントしてしまうのだろうか。
恐ろしいなー。