カギを無くしましたか?

職場に「カギを無くしませんでしたか?」
という旨の連絡が来た。
先週行ってきた東京での研修、そのときに宿泊した研修所の、
俺の泊まった部屋のカギが無くなっているらしい。
「お手数ですが、カギがお手元にあるか調べていただけませんか?」
そうお願いされた。
研修の前日から2泊して、最終日の朝にカギを部屋の机の上に置いて出てきたはずなのだが。
置いて出てきた記憶はあるのだが。


「絶対だな?」って聞かれると
「絶対です!」とは答えられない。
それにしても、研修から帰って一週間経過してるのにどうして今になって
カギが見つからないんだろう?


たしか、カギは3つセットになっていた。
部屋のカギと、下駄箱のカギと、ロッカーのカギ。
それが青いキーホルダーでまとまって。
そういえば帰りにカギを置いた時にキーホルダーからカギが外れたような気もするけど。特に気にしないでそのまま机に置いたような。
しかし、もし自分がカギを持っていたらどうしよう。
もう一週間経過しているんだし、証拠も無いんだからしらを切りとおすべきか。周囲から「あいつはモノの管理もできないんだな」と思われる事を承知で
謝って返却すべきか。
黙っていた方がいいのは分かっているけど、それも潔くないな。


そんなことを考えながら、
家に帰って先週使ったカバンを調べてみたけど、
やはりカギは見つからなかった。
キーホルダーも、カギの一つも。
自分は潔白だった。
良かったー。


次の日、胸を張って会社に報告。
その後、研修所から直接自分宛に電話があった。
「見つからないのは、3つセットのカギの中で部屋のカギだけです。
あなたが最後に部屋のカギを使ったのはいつですか?最後に部屋から持ち出したのはいつですか?」
等と質問をされる。
そんなこと聞かれたって、部屋のカギなんだから
持ち出したのは研修に出かけている間だし、最後に使ったのは夜部屋に戻ってきた時に決まっている。それから部屋の外には持ち出していない。
役所仕事ってのも面倒くさい確認をするもんだ。




まあとにかく紛失したのが俺じゃないことは明らかになったんだから、
あとは勝手にやってくれ。
そう思ってた午後、
「カギが見つかりました。
 お手数おかけして申し訳ございませんでした。
 また研修の際にはよろしくおねがいいたします。」
そういうメールが研修所から届いた。



結局研修所に有ったのか!
なんだかすっきりしないけど、これにて一件落着。
この話とおでんを肴にして美味しい日本酒を呑んだ。