昼前の新幹線でにいみさんがやってきた。
天気が良かったので、
以前から行きたがっていた動物園へ。
わが街の動物園は冬のあいだも土日営業なんですよ。
まだ園内の通路や囲いの中に雪が残り、池には氷が張っていた。
動物園って、いいかも。
なんて思った。ここ3年間で3回しか行ってないけど。
動物って、邪心が無い。
邪心という言い方はひどいな。
「ウラ」が無いんだ。
基本的には心の赴くまま、本能のままに生きてるし
欲求が満たされて無い場合(空腹とか、寂しいとか女欲しいとか)も、
素直に表現するし。
もちろん何をするにも全力。
手を抜くやり方なんて知ってたら自然では生きていけないから。
そういう純粋で当然過ぎるほどまっすぐ生きている生き物を見ると、
邪な人間もちょっと心を動かされるらしい。
 
同行者が動物たちを見て、
「わ!馬だ」とか、あの猿「ちっちゃい手ー」
なんて声を上げるたびに
はじめて動物園に来たときは全てが驚きだったこと、
自分が今色鮮やかなインコや冬の水中を泳ぎまわるペンギンを見ても
あまり感慨を抱かないことを比べて考えてしまう。
俺が5秒で通り過ぎようとしている小猿の前で、
彼女はその「手が小さい」ことに心を動かされているのだから。
彼女がどれほど純粋で、
また自分はどれほど無感動で退屈な人間になってしまったのかと。
 
後半は、彼女の視点にできるだけ近づこうと思った。
そのせいか、間近で見るゾウはかなり大きくて迫力があって興味深かった。
いろんな動物園に行ってみたい。
今はそう思える。