地域に根ざす

村の町内会の(住区)役員会。
新旧役員の引継ぎを兼ねた飲み会。
18年度の会計としては行かなきゃならない。
ほとんど名前と顔が一致しないがおじさんたちに挨拶し、
前会計担当さんから通帳やノートを引きついだ。
 
そこで数年前の彼女さんに会った。
彼女は最近結婚式場を見て歩いているそうで、
どこがいいんだろうなどと知り合いと話をしていた。
 
今の彼氏とうまくいってるのは知っていたけど、
もうそんなかんじだとは。
別にがっかりとかショックとかいう感情は無いが、
やっぱりなんか寂しい。
結婚すると彼女は今住んでいるアパート(俺も住んでいるアパート)から
直線距離にして100メートルちょっとの位置にある、
彼氏の家に暮らすことになる。
距離的にはほとんど変わらないけど、
心理的にはアパートとアルゼンチンくらい遠い距離。
 
3年近く前、俺がこの土地に引っ越してきて間もない頃、
彼女はここで公務員として働いて1年経っていて、
これからもここで住民のために働きたい、地域に貢献したいということを
たしか話していた。
何年かしたら世の中をあちこち見てまわりたいなんて言ってた俺は
そのときものすごく怒られたのを覚えている。
彼女はあのときの言葉通り、
地域の中に入って、おそらく一生をこの土地で過ごすことになるだろう。
あと何十年か、公務員としてこの土地に関わる仕事をしていくだろう。
ここが彼女の「地元」になるんだろう。
地域に根ざすっていうのはそういうことだよな。
そういえば前会計の人も、
ただの公務員と、ここが地元の職員じゃ、住民の反応がけっこう違う。
そんなことを言っていた。
 
俺はまだ、この土地に根ざしているとはとても言えない。
ここは好きになってきたが、
自分が今後、この土地でずっと暮らしていくのかはわからない。
もっと外を見たいし、今付き合っている彼女のこともある。
そろそろ生き方について、今後について決める時期なんだろうな。