「絶望に効くクスリ」
実用的な本を探してて購入。したわけではなく、かつてこの作家の漫画に
やられたことがあるので期待して購入。
案の定やられた。ページめくるごとに突き刺さった。
中身はエッセイ漫画の仲間。作者が毎回いろんな人と対談して話を聞く。
よしもとばななや哀川翔、学者、ボランティアなどいろいろ。
TV「トップランナー」の漫画版といった内容。
作者はここ何年かヒット作の無い、はっきりいってそんなに売れてない漫画家。
でも、どうして世の中は生き辛いんだろうとか、社会をよくするにはどうしたらいいんだろうとか、答えの出ない問いをいつも考えてぐったりしてる。
そのせいで描く漫画は重いテーマをはらみ、暗くなり、人気が出なくなり、
打ち切られてきた。絵柄もそんなに目立つほうじゃない。
だけど、真剣に自分の生み出したキャラクターと向き合い、
自分もキャラクターも真剣に世の中と向き合って格闘している。
すごく悩んで悩んで、最終的に「やるぜ!」となる。
そのがむしゃらに闘ってる強さが俺は好きだった。
で、この作品。
いろんな人、大雑把に分けて、
自分のやりたいことを見つけて輝いてるタイプと、
世の中を良くしようと社会のためにがんばってるタイプ、の人たちと対談。
ただ体験談を聞くだけじゃなくて、もっと深いことをたずねる。
「女の人は「見た目」が一番大切なんですか?」とか
「死にたいっていう理由はなんだったんですか?」とか
「「科学」って本当に人を幸せにするんですか?」なんてことを。
で、相手の答えを自分も全身で受け止めて、感動したり悩んだりする。
全身で受け止めて全力で考えていることが、漫画から伝わってくる。
手抜きしていないことが漫画から伝わって、だから共感する。
対談者の気持ちと漫画家の気持ちが俺にも理解できるような気がして。
一度読んだあとぱらぱらとページをめくるといちいち手と目が止まってしまう。
惹きつけられるところがあちこちにある。
どの人のお話にも心を動かされるところはあるのだけれど、
一人あげるとしたら、辻本清美さん。
「「やりたい」と思ったらすぐ行動すること」だ、という。
読んでよかった。買って悔い無し。
絶望に効くクスリ―ONE ON ONE (Vol.6) (YOUNG SUNDAY COMICS SPECIAL)
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