「国家の品格」藤原正彦

職場の先輩に借りた。すごいベストセラーらしい。
読まずに放ったままだったが、「異動する前に早く返して」といわれたんで
一気に読んだ。
この本のなかで「日本人」てのは日本で暮らした日本民族のことらしい。読んだ感じでは。
内容にいちいちそうだよなーってわかる気がするところが多い。日本人には武士道精神が大切とか自然の繊細さがすばらしい国だとか。日本は世界に誇るべき「情緒と形」の国だとか。
わかるんだけど、そのことが「日本人は世界に範を垂れるべきだ」ってところにまでいってしまうと同意しかねる。世界に範を垂れる国なんてのはろくなもんじゃないからだ。アメリカのように、自分が正しいと思うものを押し付けようとすると大体失敗するんだよな。今書いてて自分にも堪えたけど。尊敬する内田樹先生が朝日に国家の品格というのは他国が評価してくれるもんだと書いていた。いくら「俺って性格いいんだぜ」と主張しても自分で言うだけではただの自画自賛なのだ。
 
俺が納得いかなかったのは、どんな美しい論理も出発点は情緒(人間の心)、出発点は人間だ、だから間違えるんだという主張。
たしかに主張自体には100%同意するんだけど、そんなことを言ったら著者の主張も古きよき(おそらく江戸末期くらいの)日本を愛するが情緒から出発した、はじめに結論あり気の論理なのだ。そこから出発した論理は全て、古きよき日本を礼賛、一歩間違えれば回顧。
まあ面白かった。外に出るにはまずなか(日本)のことを知らなきゃといってたのが凄く参考になった。