あるある大辞典Ⅱの納豆ダイエット捏造

いなかの小さなスーパーで働いている。
納豆は定番商品だが、1月8日からは特に通常の倍近く売れていた。
あるある大辞典Ⅱの放送の翌日から。
会社でもにわかに納豆ブームが起こり、
毎朝必ず2パック食べるようにした人も、毎昼食に食べている人たちもいた。
製造メーカーから、一生懸命作ってはいるが注文増に応えられないというお詫びのFAXまで来ていたほどだ。


そのブームの源が、捏造された情報によるものだったとは。
考えてみれば、納豆を作っている地域や会社はたくさんある。
納豆は日本人の国民食だから毎日1回は食べている人はかなりの数居る筈だし、毎日2回食する人もそれなりの数は居るに違いない。
そういった人たちが皆、特に健康でやせている。という客観的なデータや統計は今のところ無いようだ。
放送してから捏造が明らかになるまで、やせる効果が出るとされた期間とほぼ同じ2週間。
今回のあるあるの放送は、TVと日本人の国民性を利用した壮大なプラシーボ効果の実験だったのではないだろうか?
(周りで効果があったって声はまだ聞かないけど)


この番組は関西テレビから下請けとその下請けの制作会社に発注されて作られていたという。現場のほうの判断で信じられないような材料を使用して、絶対作るべきでないものを作ってしまう。そして上層部はその事実を知らない(うすうす知っていても知らないふり)というのは不二家とまったく同じ構造である。会社の問題ってのは、現場の独断を上層部が見逃すか、上層部の無茶な指令を現場が黙ってやるか、どっちかなんだけども。


あるある大辞典は以前から無理やりな番組だった。まず、ダイエットや体質改善の調査の標本(被験者)が少なすぎ。いつも数人しか出てこない。トリビアの泉の「種」コーナーでは毎回百人から数千人を調査してたのに。しかも1週間から1カ月程度で実験終了。ぱっと見は栄養成分や人体の仕組みを取り上げる情報番組なのに、短期的に成功を収めた事例を大げさに感動的に放映するのはバラエティ番組の手口である。今回の納豆ダイエットも、「納豆を食べ続けてやせる伝説」のような感じで「黄金伝説!」風のバラエティに仕立てれば面白くて良かったのに。だいたい毎回ダイエットを取り上げていたら「ウォーキングして一月で3キロ減」「りんごだけ食べて2週間で4キロ減」「コーヒー飲んで10日間で5キロ減」って、どんどん楽な方法楽な方法で短期間で効果は大きくっていう、ダイエット情報のインフレーションを招いていくことは分かりきっているのに。あるあるは毎週放送だし、どんどん放送内容に対する期待と超えなければならないハードルは高くなっていく。自身の手によって。


少なくとも、TVは何を放送すべきで、何は見送るべきなのかを考えなきゃいけない。そういう時期に来ていると思う。
「テレビ自身は決してテレビの衰退に言及しないし(当たり前である)、メディアはメディア自身の没落については決して報道しない。
私たちはメディアの没落の進捗をメディアが「何を報道しないのか」を吟味することを通じて推察するしかない。」
内田樹の研究室より引用させていただきました。