ハケンの品格は見ていないが

晩飯を食いながら「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中」を見た。
今週のマニフェストは「ハケン社員は税金を免除します」


友達から聞いた話なんだけど、
その友達の会社には正社員以外の人が沢山働いているらしい。
なんでも正社員は5人くらいで、20人以上がフルタイムの非正社員(期間契約社員)として働いているんだとか。
(ちなみにスーパーマーケットだそうだ)
友達はそこの前には同じ会社で総務の仕事をしていたらしい。
だから給与関係の事情も知ってる。
そんな彼は、今回のマニフェストには反対だ。


 派遣社員非正社員全般を指して、以下ハケンと表記)を雇うような会社は、ハケンを正規に正職員として雇用する気はない。そんな会社はおそらく99%無い。なぜならハケンを使用する目的は人件費の削減であるから。各種手当てや賞与、社会保険料も払わなければならない正社員を10年前と同じ数だけ雇用することは、現在多くの会社で難しくなっている。その解決策として日本中で人件費が安くて済むハケンが使用されるようになったのだ。だから、ハケンの人に正社員になれないの?なんて言うのは暴論だと思う。
 そしてハケンとしてしばらく働いてしまったら、新卒に比べて正社員になるのはけっこう難しくなるんじゃないだろうか。一旦働くと、その仕事の色がついてしまうし(たとえイメージでも)、その時の仕事内容やどうして転職するのかなんてことが問われるからだ。会社はまっさらな新卒を好むし。
 友達がその職場で多くのハケンさんたちと働いて気付いたのは、正社員にしかできない仕事なんてのは無い!ってことだ。肩書き的に、あるいは雇用条件的に正社員にしかできない仕事は有るかも知れない。人事や給料関係の仕事とか、対外的な信用を必要とする仕事とか。でも能力的に正社員にしかできない仕事なんてものは無い。優秀なハケンは沢山居るし正社員で怠けてる奴だっている。出自が違うってだけだ。現に、友達は正社員ではあるけれど、専門的能力を持ったハケンさんのサポートに回る場面も結構あるらしいし。


 本題。今回のマニフェストハケンは正社員に比べて税金をあまり払っていない。給料が安いし、会社も派遣の分まで社会保険料や税金を負担しようなんて気はないからだ。だから税金を免除したってたいした変化は無い。年収200万円の人で、20万円か30万円くらい収入が増える程度じゃないだろうか。正社員と収入が並ぶことは無い。何年働いたってない。
 それより、雇用待遇や社会的地位が上がらないことのほうが問題なんじゃないだろうか。ハケンの人は時給で働いているから、収入を得るためにはなるべく休まず(休みをとると収入が減るから)働かないといけないし、いつか雇用契約が終了したり勤務先が変わるかもしれない。身分的にも将来的にもすごく不安定。体を壊したら収入ゼロ。不安定すぎないか?

 これはハケンを雇ってる企業が悪いとか、人材派遣会社が悪いとか、ハケンの身分で働いてる奴がだらしないとかそういうレベルの問題じゃない。(友達はかつて、20人以上のハケンさんたちの待遇がどうにかならないかちょっと考えたが「今でさえ赤字なのにこれ以上人件費とかコスト増やせるわけないだろう!潰れる!」と先輩に言われたそうである。)
 ハケンを使うと合法的に経費を削減できるしコストも下がるし景気の変動にも対応できて大変便利だ!って仕組みになってる日本の社会の仕組みの問題!
 同一賃金同一労働を法制化するとか、最低賃金を時給900円くらいに設定するとか、1ヶ月以上雇用する労働者は必ず社会保険に加入を義務付ける等の政策をとって正社員とハケンの差が限りなくなくなるようにするべきだろう。そのぐらいしないといけないんじゃない?そしてそれは政治の役割ですよ、太田総理!