処分できん性分

ずっと気にかけていた試験が終わった。
結果は…弱気で自己採点はまだしていない。
このあとは何日も時間を割いてやるようなことは俺にはほとんどない。


試験が終わってから、駅前で一休み。
タワレコ行ってもビレッジバンガード行っても欲しいものは有るけどなんとなく気持ちを抑えてしまう。もう定期収入はないし、引越しするから物は増やせない。さみしいな。


久しぶりに駅から実家まで歩いて帰る。40分くらいか。途中にある図書館によっていく。図書館に入るのは2年ぶりくらい。変わってない。結構人がいて、静かなのに活気がある。穏やかに人の気配を感じるこの空間が好きだ。ふらふら書架を見ていたらつい何冊か借りてしまった。図書館ってお金はないけど暇は有る今の自分にぴったりかも。


明日は村祭り。前の職場ではきっと忙しいはずだから、先輩に電話してちょっと働かせてもらえるよう頼む。感謝されてアルバイト料も貰える計画だったのに、大丈夫だから心配するなと言われてしまった。予想外。でも、いずれいなくなる奴を使って職場のバランスが崩れたりしたらまずいね。


実家の自分の部屋を片付ける。高校時代の教科書とかノートが紐でくくられて部屋の片隅に積んであるのいつからだ?高校卒業してからまともに片付けることなく今に至ってる。この部屋をすっきりさせないとアパート引き払ったときモノの置き場ないからな。小学校入学のときに買ってもらったでかい机の引き出しを引っぱる。子供の頃大事にしてたあれやこれ。かっこいいからもったいなくて使わず取っておいた鉛筆、ねだって買ってもらった筆箱、スニーカーの入っていた箱、修学旅行で買った松島の提灯型キーホルダー、進研ゼミのなんかで貰った便利セット、ボンジョビのアルバムを録ったカセットテープ。そいつらをゴミ袋へ突っ込んでく。思い出の一品、秘蔵のコレクション大処分。小学生の俺が大事に取っておいたものって、今にしてみたら取るに足りないものなんだな。しかし物を捨てるって残酷だ。
引き出しを開けていると出てきた、高校のとき初めて付き合った女の子からの手紙。プリクラ色々。数年ぶりに読み返してみて、当時17歳だった女の子の魂にぐっときてるおっさんの俺。別れたときのせつなさはまだ胸の奥のほうにしまってあったみたいだ。これも捨てなきゃならんのか、全く捨てられないという事はないけどちょっと勿体無いな。


前に付き合ってた彼女から貰った、2人の写真がいっぱいのアルバム。これもずっと捨てられずに隠し持っている。先週、人生の先輩とこのことについて話した。「じゃあ君は、彼女が前の彼氏との思い出の品とか写真をずーっと持ってたらどうするの?」
そうだ、確かにずーっと持ち続けてはいられない。大切なのは、胸に有る思い出なんだ。思い出は誰の目にも触れずに大切に仕舞っておくことができる。物質や写真は思い出を蘇らせる媒介、あるいは結晶化した思いでそのもの。でもその記憶は自分の心にしっかり保存して有るはずだから、それだけでいい。
そのときは格好良く思い付きを述べたものの、でもやっぱり難しい。
この問題は引越しが終わるぎりぎりまで先送りにするつもりだ。