生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)作者: 福岡伸一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/05/18メディア: 新書購入: 56人 クリック: 1,487回この商品を含むブログ (1107件) を見る

生物の定義って何?という素朴な疑問について、1940年代からの生物学の流れと著者自身の研究を交えてまとめた本。
帯の推薦文(よしもとばななとか高橋源一郎とか内田樹とか)からして期待大だけど予想以上の面白さ。なにしろ文章がうまい。比喩が巧みだし描写が詩的。ちょっと翻訳小説っぽい文体で、きっと何を書いても面白いんだろうなと思わせる。

 

私は今、多摩川にほど近い場所に住んでいて、よく水辺を散策する。川面を吹き渡ってくる風を心地よく感じながら、陽光の反射をかわして水の中を覗き込むと、そこには実にさまざまな生命が息づいていることを知る。


という書き出しから始まって、生物学の話題に入っていくのだ。なんて滑らか出だし。この文才分けて欲しい。


俺は理系得意ではないけど、
われわれの身体は原子にくらべて、なぜ、そんなにおおきくなければならないのでしょうか?
という疑問に、生物の進化の話を全くすることなく原子分子のレベルで答えたところなんかは圧倒的に合理的で明快で、思わずため息が出た。
それから、
秩序は守られるために絶えまなく壊されなければならない
というところは人間の築いたシステムにおいても同じで、きっといろいろなことに通用する真理なんだろう。
とにかく、読み応えのある一冊。