ふしぎの海のナディア DVD-BOX II出版社/メーカー: SOL BLADE ENTERTAINMENT(K)(D)発売日: 2007/10/01メディア: DVD購入: 1人 クリック: 22回この商品を含むブログ (17件) を見る

1990年頃NHKで放映されてたアニメ。庵野秀明総監督。
今まで全く見たことがなくて、先週ゲオが安かったのでまとめて借りてきた。
ずっと南の島の人魚の話だと思っていた。無知。


正しくは、謎の宝石を持った少女が勇敢な少年や謎の船ノーチラス号と出会い、悪の組織と戦う冒険物語でした。元ネタとしてジュール・ベルヌ海底二万マイル、原案として宮崎駿天空の城ラピュタのアイデアが使われている。ということも今回始めて知った。
海底二万マイルありロビンソン・クルーソーありラピュタありSF全開作品で、あーこれ当時知ってたら絶対毎週見てたのになーとちょっと悲しくなった。クラスの友達とかこのアニメの話なんてしてなかったと思ったけど皆は見てたのか?


見ていて気になったのは悪の組織の存在。登場する「ネオアトランティス」は超古代文明の力を利用して人類の支配、世界征服を企てるのだ。
この作品を制作したガイナックスの社長だった岡田斗司夫さんの著作

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

そこでも詳しく考察されていたけれど、世界征服を企てるというのは「悪」の姿として非常に明快だ。ゴレンジャーとかピッコロ大魔王とか、あまりにもおなじみ。
悪の組織は失敗した手下とか裏切り者を簡単に抹殺するんだ。「ゴッドファーザー」でもそうだった。状況証拠だけで有罪、判決は常に死刑。人材不足しないの?って思ってしまう。ハローワークに求人出さないと。


「ナディア」では悪の首領が、
「愚かな人間は我々が支配する奴隷となるのだ」とかなんとか世界に宣言する。そして反撃に遭う。
いくら悪の組織とはいえ、「支配」「征服」を全面に出してアピールするのはベストな方法とは言えないよね。それが真の目的だとしても。
きっと、本当に怖ろしい悪は、もっと複雑で、少しだけ正義と混じり合っているのだ。
例えば「サイボーグ009」に登場した「ブラック・ゴースト団」のように。
そいつらの正体は死の商人で、世界中に武器を売ることを生業としている。そんな連中はもちろん現実世界にもいる。アメリカ辺りではかなり幅を利かせているらしい。
そいつらは世界征服なんて口にしない。貨幣経済の中枢に存在することができれば実質世界を支配しているという事だからだ。
覆面をした地下組織なんてものも必要としない。各国、各企業体と経済的な利害関係で結びつけば、その関係は金が続く限り切れないから。彼等は利益のために働いてくれる。
「恐怖」なんてものは全くいらないものだ。死の商人は、軍事力を行使するものの親切なパートナーとして、笑顔で殺傷性の高い武器を売り、握手で契約を交わす。思想を問わず、対立する右と左の両方と契約を結ぶ。武器を必要とする勢力がなくならないように、人類が滅亡しないように、生かさず殺さず。彼等は持続可能なビジネスを志向するのだ。
そして彼等は敵を作らない。敵を作ることは仕事の妨げになるから。特に強い奴とは闘わない。現代の悪は主張をせず影に隠れている。


なんだか途中からこれって経済ヤクザといわれる人たちのこと?って気がしてきたけどどうだろう。
現代の「悪の組織」とは死の商人であり、それは武器を扱い、麻薬を扱い、煙草を扱う(俺は非喫煙者なので)。そして当人達は販売している商品には手を出さない。長生きできないからね。


本当に思い浮かべた悪は「20世紀少年」の「ともだち」だった。