逆立ち日本論 (新潮選書)作者: 養老孟司,内田樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/05/24メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 19回この商品を含むブログ (59件) を見る

養老先生と内田先生の対談。
話し言葉だから読みやすいはずなのに一行一行やけに重量感が有って読破するのにてこずった。世間話風ななかにも内容が濃い!

養老先生は解剖学者、内田先生は武道の先生ということで、思考を身体の部分から組み立てているようなところがある。
人間の身体はどんどん古い細胞を捨て新しい細胞を作りつづけ絶え間なく変化している。昨日の自分と今日の自分は細胞レベルでは間違いなく別人になっているのに、意識がそれをとりあえず同じ主体ということにして話を進めている。
そんなことは中途半端に頭でっかちの自分からは生まれない発想で、そういえばそうかも…と非常に興味深く読めた。


文明は辺境から興る」国や地域の中心地というのはそこの中央ではあるが、他の国や地域と離れておりそれゆえに「田舎」。辺境、つまり地域の端の方は中央と距離があり、隣接する他の地域や文化と交流があり混ざり合うところ。それゆえに文明が興る可能性がある。というようなことが語られており、辺境に住んでいる身としてはほっとさせられた。


最後の章で養老先生の体験から生まれたひらめきが光っていた。先生の研究対象だった「死体」は何も語らないし、全く動かない。そこから何かを読み解くためには自分が動き考えなければならない。とにかく考え抜かないと。


考えて考えて考え抜くと、底が抜ける。そう思っていたら「どん底に落ちたと思ったら掘れ」って書いてある本に最近出会いましたよ。底が抜けて落ちたら、どんどん掘りまくる。いいでしょう?

掘りまくると、その底に自分にしか見つけられないようなことが埋まってる


養老先生は全編通じて意地悪なことばかり話しているように思われたが、最後の言葉で帳消しになっておつりが来たのであった。