はじめてであるように
青春18きっぷで12時間電車に乗って実家へ帰った。
前日飲み続けていたこともあって車内ではずっと斃れていた。
秋田市に着く一時間前、電車の窓はオレンジ色に光っていた。
西の空の下のほうには真円に輝く夕日。
空の青と赤の境目は色が無い。
地上すれすれまで欠けるところのないままゆっくりと落下していくその光はぼんやり車窓を眺める俺のところにも差し込んできた。
一時間後、星が見える頃になっても地平線の上には赤い輝きが残っていた。
こんなに鮮やかで完全な夕日を見るのはいつ以来だろう?
毎日を
はじめての場所を旅するように
はじめての景色を見るように
はじめての香りを嗅ぐように
全てがはじめての体験であるように
意識して、感じて、生きていきたいと
そのとき思った。
写真は秋田の竿灯祭り